どきの前身となる会社に入社したのは今から46年前で、社長就任以来23年が経年しました。振り返れば多種多難な経験をしましたが、何とかここまで来られたのは、ひとえに私の周りにいた人々と社員の支えであることは言うまでもありません。感謝の一念です。
さて、私の現役終了の時間も刻々と迫る中、残された時間の中で過去を振り返りながら将来の展望と今後の行動目標を話したいと思います。
私の原点は、稼業の海運業の手伝いをするため、さしたる目標も持たないで船に乗ったことです。経済的にも仕事自体も非常に厳しく、何度も父親と口論しました。取っ組み合いの喧嘩にもなりそうな時もありました。普段は物静かな父に言われたことは、「海の状況は毎日違う。海を舐めても、また舐められても命を取られる。」 しかし、父に言われたことが本当に理解できるまでに、約十余年の歳月を要しました。
海のこと、航海術のイロハ、人間性を鍛えられましたが、当時の私は、自分の未熟さをよそに過信の塊とでもいうか、自分の技量があればどんなこともなし得ると思い込んでいたように思います。しかし実際は船長としての技量はもちろんのこと、他人と対話し、協力を得られなければ、船の運航などできるはずもありません。
すなわち現在、会社という船を安全に運行することも、まったく同様です。協力会社をはじめ、協力者や仲間、そして社員、社員の家族の支援・協力を得られなければ、会社は安全に航海し存続できないのです。